母娘で訪れるスパ
2008年6月ザ・ガンサのルバブ・スパにおいて、母娘で楽しめるメニュー、「ハーモニウス・モーメント(90分)」を体験してきました。サービス内容に滞在ホテルからの無料往復送迎(地域限定)が含まれていますが、せっかくなのでスミニャックからドライブを兼ねて自分たちで行くことに。ここというポイントにホテルの案内が目に付くところにあったので、おかげで迷わず到着できました。
バリ島の表向きの顔ではなく、気の置けない暮らしが垣間見れるサヌールの小さな村の中にあるこのホテル。まるで個人宅を訪ねるような気持ちでエントランスに車を横付けすると、タイミング良くスタッフが声を掛けてくれました。その場で車を預けて門を潜りホテル内へ足を踏み出すと、気持ちのいい空間が広がっていて我知らず頬が緩みます。
 
 
場に馴染んだところで日本人ゲストリレーションの裕美さんが声を掛けてくれて、まず今日のメニューに含まれるライトミールの内容について打ち合わせ。ここで驚いたのは娘の好みに合わせて食材や味付けを調整してくれるという、ザ・ガンサの柔軟な対応。そうです、子供にはやはりエキゾチックな香りや、スパイシーな味付けは結構辛いものがあるのです。お言葉に甘えてアレンジして頂きました。
スパ棟に移るとまずはパンダンリーフで色と香りをつけたウェルカムドリンクと冷たいおしぼりが供され、気持ちよくクールダウン。バリ島のお菓子ジャジャンを連想させる香りに微かな生姜の刺激。爽やかな緑が目に快く口当たりもがいいだけでなく、含まれる成分がこれから行うマッサージの効果を更に高めてくれそう。
カユマニスグループのスパを統括するトリスナさんに歓迎して頂き、ドリンクを飲み干して一息ついたところで今日担当してくれるセラピストのPutu嬢とNur嬢の二人が登場。恥じらいを含んだ笑顔が可愛い娘さんたちで、これなら難しい年頃の娘もリラックスして施術を受けられそうです。
 
 
最初にフラワーバス
声高な主張を感じさせない穏やかさが第一印象のセラピールームの内装は、白い壁に茶色の濃淡の家具を配置。どこか和のテイストに通じる朽ち葉色とグレージュ、黒のテキスタイルを用いたインテリアは、むやみに華美・新奇に走っておらずゲストの心を和ませます。
セラピールームに続くドレッシングルームは電磁式の貴重品ロッカーを始め、綿棒や男性ゲストへの配慮を感じさせるシェービングキットなど至れり尽くせり。ここで母娘は、さらりと軽く肌に馴染む着心地のいいガウンに着替えて準備完了。
 
 
 
親子共通のアロマテラピーフットバス(10分)で、今日のメニュー「ハーモニウス・モーメント」が始まります。アロマバスソルトを投入した、日本人には嬉しい“ホンの少し熱い”湯を張ったボウルで優しく足を洗いながらのマッサージと共に、サンダル履きで荒れた踵やくるぶしなどの角質ケアも同時進行。ふと、横に目をやると娘が照れた笑顔を浮かべています。そんな娘にセラピストのNur嬢も優しく微笑んでくれていて、母も安心。
 
 
次は、庭に設置されたアウトサイドシャワーとトイレも併設している半屋外のバスルームでのフラワーバス。吸盤の付いたバスピローに頭を預けて、手足を伸ばします。13歳になっておきながら、未だ母との入浴に何の抵抗も見せない娘。同年齢でも親との入浴は拒否っていう話を学校で耳にするけれど、その場合どうするのかしら?
マッサージの後にフラワーバスというのがベーシックだけれど、旅先でのスパであればマッサージ前の方が効果的かも。入浴後の血流低下を防いで、血流の良い状態を保つことでより深部へのマッサージが可能らしいし。難しいことは抜きにしても、冷房のキツい室内でマッサージを受けて、途中冷えからこむら返りを起こしたという本末転倒な経験がある私には有難いことです。
 
 
温かい繭のような
心地よく温まり再びセラピールームへ戻ると、私にはバリニーズマッサージ(60分)、そして娘にはミニフェイシャル(30分)と背中と肩のマッサージの準備が整っていました。そして室内温度への言及は高級スパなら最近は耳にするようになりましたが、こちらでは更にBGMの音量についても訊ねてくれたのが実に嬉しい配慮です。
穏やかな空間に身も心も緩ませて、ふと隣を見ると期待に目を輝かせている娘。3歳からバリ島へ度々旅行に来ているだけに、この年齢にしてはマッサージの魅力を充分承知していて、最近では街の足つぼマッサージでは誤魔化されてくれなくなったのです。そこへ今回の母娘レポーター募集、おまけに自分の渡バリと日程が重なるなんて!レポーターに当選した嬉しさも格別でしたが、その場所がここスバブ・スパであったことにも感謝です。
目を閉じると担当のPutu嬢のバリニーズマッサージが始まりました。大きく弧を描くようなロングストロークで、指が離れる直前に“くっ”とツボに入ってくるのがこのスパのメソッドなのでしょうか。使われているオイルがPutu嬢の手の動きに合わせて心地よく香ります。カナンガやチュンパカがブレンドされたバリ島らしい花の香りに包まれて夢見心地。また、ぽってりとして力強い彼女の指の感触が気持ちいい。マッサージが進むにつれて掌がじんわりと熱を持ち始め、温かい繭に包まれていくかのような錯覚を覚えました。
マッサージ終了後は娘と二人、庭のシャワーでオイルを洗い流します。マッサージの感想を訊くと「仰向けからうつ伏せになったのは覚えているけれど、気持ちよくて眠っちゃった」との答え。プロセスを覚えていないとは何ともったいない。それでも、ただ、ただ気持ち良かったのなら、それは極上の経験とも言えるでしょう。良かったね。
着替えてレセプションに戻ると、コメントシートの記入を求められました。向上心のあるスパならではの努力。すっかり温まった体に清々しいフルーツのサテを頂きながら、私も真剣にコメントを記入します。日本語OKならもう少し詳細なコメントと感謝の言葉を綴れたのですが・・・。
 
 
香りで蘇る記憶
ギフトを頂き、スパ施術後のもうひとつのハイライト、ライトミールがサーブされるメインダイニング“ゴング”へ。植物が様々な緑色のグラデーションを見せる中庭が実に美しい。エントランスやスパ、そしてダイニングや各部屋にとシンボリックに配されたガムランの楽器は興味深く、重厚なダークブラウンの家具や調度には黄褐色をアクセントにしたテーブルデコレーションとのコントラストが効いていて、デザイナーの洗練されたセンスと、調和を乱さない確固たる意志を感じます。ここには不協和音を奏でる余地はないのですね。
 
着席し、注がれた水はほんのり甘く爽やかな香り。訊いてみるとオレンジの香りらしく、細部まで宿ったありきたりじゃない、おもてなしの心にすっかり感動です。
好みで選べるライトミール2種。その内容は、まず娘が選んだAコースが“ツナのマリネとガーデンサラダ、レモングラスのドレッシングで”がスターター。メインが“温かいチキンのムースに野菜とタマリンドのソース添え”。そして食後のデザートが“スイートポテトとクリームチーズのケーキ”。
そして私が選んだBコースは“完熟トマトの濃厚スープ、エクストラバージンオイルの香り”、“サーモンとエッグヨーク、ほうれん草のソテーのメダリヨン仕立て〜スパイシーなバリニーズソースで
〜”、“ヘルシーな寒天のプティング仕立て”という、それぞれ施術後の代謝が良くなった体にバランスのいい内容。
美味しいとは評判を聞いていたけれど、まさかここまでとは。トマトのスープは幾層も香りが重なる繊細な味付けで、口に運んだ瞬間メインの料理への期待が湧きます。メダル状にサーモンと重ねられたエッグヨークはどちらも絶妙な火加減で、これが卵と言えば完全に火が通さないと許さないバリ人の手になるものとは。肉食獣の娘もチキンのムースを軽快に口に運び続け、味見をしようとする私の手からお皿をガードする程でした。
 
 
が、ライトミールという内容ですがこの段階でほぼ満腹です。あくまで私見ですがスパの後はもう少し軽く柔らかで、爽やかな後味を残すものを少量がふさわしいようにも思いました。それでもデザートが目の前に置かれるとつい口に運んでしまいました。
 
 
先ほど頂いたギフトはカユマニスが浸されたマッサージオイルでした。頂いたものはその場ですぐにどんなものか確かめたくなる恥ずかしい習癖を持つ私は、早速その場で開封。甘さの中にどこか清涼感の漂うカユマニスの香りと共に周囲の風景も記憶に焼きついてしまいました。帰国後、オイルを使用する度に、今日の悦楽のひと時が脳裏をよぎることでしょう。ちょっと罪なギフトです。
これも今日のメニューに予め含まれているフルーツジュースを味わいながら、たった先ほどまでの経験を反芻。宿泊客でなくてもルバブ・スパを始めホテルスタッフはいつでも私たちの呼吸を測り、最適なタイミングでサービスを提供してくれました。しかも、決してそれが先へと追い立てるものではなく、非日常を楽しむ気持ちを冷めさせるものでもありません。サービスの姿勢だけでなくファシリティや、抑えた色遣いを含めたインテリアの基調まで、“まずゲストがあって始まる”というポリシーが感じられました。
 
ホテルスタッフに裕美さん、トリスナさんに見送られながらホテルの敷地を名残惜しく振り返ります。次は宿泊客としてのんびりと滞在しながら、気が向いた時にふらりとスパ棟を訪れて身も心も委ねよう、そう決意しました。
緑の聖域のようなザ・ガンサの中のルバブ・スパで母娘で楽しんだ本日のメニュー「ハーモニウス・モーメント」での時間は、二人だけの特別な共通の記憶としていつまでも懐かしく思い出されることでしょう。素敵な時間を有難うございました。(※こちらのりおっちさんとお嬢様は2008年6月に体験されました。)
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