熱帯の・・・
[ 313] 熱帯の・・・ 投稿者:木花咲耶 投稿日:2004/02/11(Wed) 15:15
取りとめも無い文章ですみませんが、サヤンで起こったことをつらつらと書いてみます。
長いので二部に分けますね。

サヤンへの道は傾き始めた夕陽に照らされ、ココヤシの影は長く地に伸びていた。うだるような暑さから開放され何もかもほっと息をつく、おだやかな黄昏が始まる。祭りの後のペンジョールが風に吹き流され、かさかさと乾いた音を立てていた。夕涼みがてら軒先で語らう人々。皆夜と昼とのこのぽっかりと空いた時間を何とはなしに楽しんでいる風情だ。
道に出てカキリマを呼ぶ声。埃っぽいワルンをばたばた閉める音。 つかの間の賑わいに田舎道は華やいでいた。

「急がないと・・」ふと時計に目やると、すでに針は5時半を過ぎていた。すっかり予定より遅れている。さっきからベモが拾ってくれるのを待っているのだが、クラクションを鳴らすのは、異邦人の女がこんな夕暮れの田舎道を一人で歩いているのをいぶかしがる冷やかしの車ばかりだ。

いつものことながら、道草ばかりしていて、すっかり予定は狂っていた。あせりながら歩く私の目に朽ちかけた看板が目に付く。はげたペンキで小さく文字が書いてある。
「ヴィラアユンリバー」、草むらの先に階段がのぞいていた。「渓谷へ降りれるのかな?」むくむくと好奇心が沸いてくる。いけない、ただでさえ遅れてるのに・・・。でもちょっとだけ降りてみるのもいいんじゃない、川が見えるかも・・。気が付けば私は朽ちかけた階段を降り始めていた。

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:テツ 投稿日:2004/02/11(Wed) 16:57
木花さん、つづきはやく〜〜

何があったのか すっごく気になる!!!

それにしても 木花さんの文章って素敵ですね!

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:花咲け 投稿日:2004/02/11(Wed) 23:26
咲ちゃん、いよいよ問題のサヤンエピソードですねぇ。
なんだかミステリアスだわ。「ヴィラアユンリバー」への階段、いったい何があるのでしょうか?

テツさん(はじめまして&こんにちわ)と同様、私も続きが気になりまする。早く続きを・・・お願いね

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:マーニ 投稿日:2004/02/12(Thu) 01:18
木花さん、ここにも続きを待っているものがおりまする〜(^^)/

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:木花咲耶 投稿日:2004/02/13(Fri) 21:28
すみません。後編遅くなりましたわ。では続きを・・。

石段は三段先が見えぬほどの急傾斜、谷底へ体ごと吸い込まれそうだ。羊歯や枯葉が厚く積もり、踏み出すたびに湿った匂いが辺りに立ち込める。

何段降りたのか・・・分からぬぐらい降りた頃、突然板ぶきの屋根がひっそりと現れた。
入り口は何処?何処にも見当たらない。
生垣が塀のようにぐるりと囲み、中の様子をうかがい知ることはできない。私はこんもりと茂った生垣に沿って歩き始めた。

・・・ぴちょん、水面を蹴る様な音がする、
・・・ぴちょん、葉陰からわずかに水面の青い光がきらめいた。
そこに誰かいるの?誰かいるならこの迷路のような道から私を出して。
生い茂る葉を手で払いのけ、やっとのぞきこむと、そこには木陰に囲まれて小さなプールが有った。
手入れされた青いタイルが、誰か今も住んでいることを教えている。
・・・ぴちょん。また水の音。誰もいない水面に波紋だけがうっすらと広がっていく。

・・・帰ろう、突然私の中で何かが囁いた。
帰ろう、ここにいちゃいけない。
この空気を私が壊しちゃいけない。
葉陰から覗き見した私はひどく不躾で、その空間に私だけが異物だった。

帰らなきゃ・・・、心臓がばくばくする。
後ずさった足が白い花を踏んでいたことに気づき、慌てて私はきびすを返す。
谷底の渓流にまぎれて、低いマントラの旋律が運ばれてくる。
ここは昔不吉な場所として村人が恐れていた・・、小説の一ページが頭を掠めていく。
さっきまで明るかった森は、今は何かを飲み込みそうに暗く、まったく別の表情をしていた。
私は息を上げながら石段を一気に駆け上がった。

・・・どうやって道へ戻れたのだろう。気づけば首筋に冷たい汗がにじんでいた。
背中から暖かいオレンジの光がさしてくる。
日が沈んでく・・。さっきまでいた谷底はとうに深い蒼い闇の向こうだ。
今まさに椰子の陰に沈もうとする夕陽はやけに赤く、なぜか胸が痛んでいた。完全なあの世界に私は侵入者だった。

サヤンへの道はすっかり夜の帳に包まれていた。
人っ子一人いない。どこからか来たのか犬達が激しく私を吠え立てる。
帰れた・・・。なぜか犬の声に安堵していた。
激しく鳴く犬の声が私を現実に引き戻す。

素直に怖かった。何か分からぬものが私を遠くから見ていた気がした。ひんやりとした風が夜だけに咲く花の匂いを運んでくる。いつのまにか頭上に落ちてきそうなほどオリオン座がさざめいていた。

帰らなきゃ・・。今は無性に人の明かりが見たかった。
昼と夜の間にはっきりとした線が引けぬように、この密林の中に紫色の薄闇の場所があるのだ。紅茶の澱のように時間が積もった場所があるのだ。

二度とあそこへたどり着けるか自信は無い。
犬に吠え立てられながら、私はとぼとぼと歩きだした。

すべてサヤンの森が見せた、あやかしの話である。

ひえーっ、散文でした(汗)。読んでくださった方、お目を汚してすびばせーん。

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:みかん 投稿日:2004/02/13(Fri) 22:35
木花咲耶さん、こんばんわ(&初めまして)。

ウブドの混沌の魅力あふれる文章ですね、
うれしくってゾクゾクしちゃいました。

怖いんだけど、惹きつけられてしまう・・・・。
冒すべからずの場所がある一方、
何ものかに守られているように心落ち着く場所もあって。

わたしがウブドで大好きなのは朝靄の時間なのですが、
夕暮れから夜明けまでの、
あやかしの時間との対比があるからこそ、
一日の生まれたての光の神々しさが増すのでしょうね。

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:マーニ 投稿日:2004/02/15(Sun) 04:27
木花さん、私読ませて頂いて、文章のすばらしさにゾクゾク来たのと同時に、別な意味でゾクゾクしてしまいました。というのは、以前歩いていたら、小さなホテルに迷いこんだのはよいけど翌年同じトコに行こうとしたら、どうやっても道に迷ってたどりつけず「結局あのホテルはまぼろしだったのかも」と思ったことがあり。その場所がサヤンの近くなんです・・・。今回のが第一部の前編後編だから、もちろん第二部もあるんですよね〜(^^;)。

みかんさん、こんにちは〜。「怖いんだけど、惹きつけられてしまい、また、何ものかに守られているように心落ち着く場所もある」。私はこんなに上手に表現できないのがつらい・・・(^^;)。でもとってもよくわかります。私はウブドで生まれて初めて過ごした夜を忘れることができません。まさに同じような体験でした〜(^^)。

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:テツ 投稿日:2004/02/16(Mon) 16:01
木花さん、続きを拝見させて頂きました。
行間から、アユン川のせせらぎの音と、バリの日差しが滲み出てくる様な気がしました。

バリにいると、人の立ち入る事の出来ない。精霊達の居場所を感じます。

日本にも昔は八百万の神々の影があちこちの見えたのでしょうけど
私達が追い出してしまったんでしょうかね〜

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:木花咲耶 投稿日:2004/02/16(Mon) 23:29
みかんさん、テツさん>読んでくださってありがと〜〜うですわ。つたない文章ではーずーかーし(汗)。ちょっと興がのったので書いてみました(笑)。
私はウブド中心地をうろうろしてることが多いのですが、そこでは感じなかった何かをサヤンの方では感じました。
といっても決して、私は霊感の強い人間ではなく(汗)、たまたま読んでいたある小説の舞台がサヤンであって、その波動がたまたまあの夕方に私とシンクロしただけだと思いますぅ(笑)。

マーニさん、えっ!?いやーん、そのホテルの話もミステリアス〜。・・私達同じところで迷ってたりして(笑)。
この話には続編が有って、そちらは全然神秘的じゃないんですよ。笑い話なんです。また書きますね〜。

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:マーニ 投稿日:2004/02/17(Tue) 02:19
テツさん、先日テレビでとある日本人の古い家のルポがあって見ていたら(近畿あたりの家だったと思います)、その家では毎日自宅の家の中や外の決まった場所に、お供えものをそなえる習慣があり、「毎日こうして祈ってる」と言っていました。でもこういうお宅は今では稀少ですよね。私の祖母は私が外出するときは、よく火打ち石を私に打ってくれたものですが、祖母が亡くなってからは、一度も(火打ち石)をやったことがありません。何か寂しいですね。

木花さん、せっかく「ミステリアス木花」が定着しそうなのに、続編が笑い話ではイメージがくずれやしないか?と心配してしまいます(^^;)。でも書いてネ〜(^^ゞ

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:miu 投稿日:2004/02/17(Tue) 14:55
咲ちゃん、今回も素敵な書き込みに魅了されてしまいました。
思わずそう、熱帯の旅人を思い出した次第。
でも、無事に戻れて良かったわーーー!
続編も楽しみにしておりまする。

テツさん、そうですね、日本にもいろんな目に見えない何かが存在してたんでしょうね。
林巧著の「アジアもののけ島めぐり」にも同じ様な事が書かれておりました。
文明がそうしてしまったなら、やはりちょっと悲しいですね。

マーニさん、家の母の里は瀬戸内海の某、島なのですが
やはり昔からその地に伝わる言い伝えなどが存在したようです。
でも、火打ち石を打たれた経験はないな〜。
マーニさん、本当は年誤摩化してない?(笑)

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:花咲け 投稿日:2004/02/17(Tue) 22:05
バリから帰って10日あまり、ちょっと仕事が忙しくて疲れが出たらしく週末から風邪で寝こんでおりましたら、おぉ!咲ちゃんのサヤン不思議物語の後編が既に完成していたのですね。

人が立ち寄っては行けない場所、そんなところがあるバリ、よ〜く理解できるような気がします。夕暮れや闇を恐れる気持ちを持ちつづける大切さ。バリへ行くとそれと同時に闇の中でも何物かに見守られている安堵感も感じる私です。なぜかバリでは深〜く眠ることができますね。

ウブドは何回も滞在しているのにまだサヤン周辺は歩いたことがありません。次回は勇気を出して探索してみようかなァ?でもその笑える続編きになるわよ、早く聞かせて〜!

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:もひょつ 投稿日:2004/02/18(Wed) 13:09
おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉお!
私の尊敬する木花師匠が!!!

は。失礼しました。
皆さんこんにちは〜。もひょつです。

ワクワクしながら読ませて頂きましたわ。
山未経験の私にとってはなんとも刺激的な!
近代化が進むバリでも、まだまだこんな景色が残っているのでしょうね〜〜。
続編も楽しみにしておりまする〜〜。

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:マーニ 投稿日:2004/02/18(Wed) 22:26
バリの闇って奥深いですよね。耳を澄ますと、虫やら動物やら、何かの声(物音)もあたり一面から聞こえるし。ホテルのベッドで熟睡することは少ないのですが、プールサン・デッキの上で前後不覚に眠ってしまったことがあります。置いてあったTシャツが風で飛ばされてプールの中を泳いでいました。ちなみに平泳ぎでした・・・(^^;)。

miuさん>あ、ばれた〜?。いやあ、東京オリンピックのを生で見て感動しましたヨ〜、「東洋の魔女」とか・・・(^^ゞ

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:木花咲耶 投稿日:2004/02/18(Wed) 23:45
miuさん>たぶんあのまま戻れなかったら、それはそれで幸せだったりして〜(笑)。私が帰ってこなくなったら、仙人になったか、カオナシにでも化けたか、と思ってやってくださいな(笑)。

花咲けさん>風邪お大事にね〜。そうそうウブドでは熟睡するけど、すごーく早起きになるんです。太く短くって感じの睡眠です(笑)。だって鳥の声やら、農夫の声やらで必ず一度は目が覚める・・・そして二度寝するっと(笑)。

もひょつさん>びっくらしただわよ〜。・・・師匠?おいおい〜っ(汗)。あなたこそ短期旅行の名人ですわ。山への登場も近し、と聞いております。で、ウブドお散歩コースは松竹梅と有りますが、どれにしますぅ(笑)?

マーニさん>年齢詐称疑惑も出たところで(笑)。プールデッキで熟睡?・・あらー日焼けに注意ですわっ。
火打石なんてかっこいいですわぁ。江戸っ子って感じ。
続きですが、そう笑えるっていうか、失笑って感じなんですわ。じゃあまた日を改めて〜。

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:きんた 投稿日:2004/02/19(Thu) 11:58
木花さん、こんど時間があったら、小説を書いてください。
その本を持ってバリに行って、小説の舞台に近いホテルに泊まって読んでみたい。

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:木花咲耶 投稿日:2004/02/24(Tue) 22:06
サヤン裏話ということで一席。(あ、きんたさん、小説は書けませんが、コバナシならなんとか、爆)

とぼとぼと歩き出した私ですが、目指せ、ピタマハ!と気力を振り絞り、夜道を犬に追われるように歩いておりました。
行けども行けどもウブド中心地へ向かって右折する道は見つからず。だんだん道は星明りのみになってまいりました。

明かりが見えて、ほっとすると変な若造が腕をつかんできます!「こぉんばんわぁ〜♪」
「こぉりゃーっ。気安く触るんじゃないぞ!」言葉も荒くなります(笑)。

いよいよ行き倒れるか!?と心細くなってきた頃、そこにはアマンダリの小さな看板が。私は吸い込まれるように細い道を入っていきました。警備の人が疲労困憊した私の様子に驚いて手招きしております。
そのまま薄暗闇のロビーへ。
スダップマラムが香るロビーは妖艶な雰囲気。
・・・現金なものです。私の視線はそのままロビーをつき抜け、漆黒の鏡のようなプールサイドに、目が釘付けになってしまいました。
さっきまで疲れてふらふらだったくせに(失笑)。

プールデッキに腰掛けて、リンディックの生演奏に耳を澄まします。しゃんと背中が伸び、いかにも滞在客のような(笑)、一人旅を楽しんでいる女性客を気取っている自分がおりました(笑)。まさかちょっと前まで、犬に追われていたなんて誰にも気づかせぬように(苦笑)。

いつのまにか傍らにはスタッフがおり、うっとりとした黄昏にふさわしいような、上品な話題で話しかけてきます。ええ気分やね・・・英語も大変綺麗でなんとも耳障り良し。
「私はあなたのゲストでは無いのですが、私のホテルのスタッフを呼んでいただけないでしょうか?」とお願いすると、すぐさま連絡していただけました。
しばしそのまま風に吹かれながらひとしきり、おしゃべりを楽しんでおりました。

そこへ私のお迎えが。
「どうぞ。お気をつけて。」にっこり車の後部座席のドアを開けてくれようとしたアマンのベルボーイ。
すかさず、うちのホテルのドライバー「咲〜。前座って〜。後ろのドア壊れてる。」
・・・・あんたねぇ。せっかく良い気分で帰ろうとしたのに。見なさい、アマンの人たち、え・・前乗るの??と顔に書いてあるじゃないの〜(汗)。

ま、私も苦笑しながら「あいよっ。」と前にのりましたが。
最後まで「又のお越しをお待ちしております。」と手を振ってくれたアマンの皆様、ありがとうございました。
さーらーばアマンよ。ほとぼりさめたら、また遊びに行きます(笑)。

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:マーニ 投稿日:2004/02/25(Wed) 02:56
あ〜、よかった〜、やっぱり木花さんは「ミステリアス木花」じゃなくて「コミカル木花」だった〜(^^;)。とは冗談ですが、最後のオチが、バリらしくて良いですね。今度木花さんがアマンダリに泊まりに行ったときには、スタッフから「ああ、あのときの前シートの方ですね」と言われるのは93%の確率だと思われます(^^;)。

[313へのレス] Re: 熱帯の・・・ 投稿者:花咲け 投稿日:2004/02/25(Wed) 18:42
木花咲ちゃん、最後はバリならではの「落ち」で笑わせてもらいましたが、でも駆け込んだのが「アマンダリ」というところがさすが咲ちゃんですわ、堂々たるマダムぶりじゃぁありませ
んか(憧れ〜)。

今度は堂々と遊びに行ってくださいませ(笑)。次回のすてきなストーリーをお待ちしておりますぅ。

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