お葬式ほど、その国の文化や宗教が色濃く反映される祭事はありません。一般に宗教心が薄いといわれる日本においても、葬式となると、一定のスタイルによって執り行われます。まして、宗教が人々の生活に深く根付いたバリ島においては、葬儀(ガベン)は一大イベントとなります。
バリ・ヒンドゥー教において「死」とは、これっきり終わってしまうというものではなく、前世から現世へ、そして現世から来世へと生まれ変わるもの、死とは天空へ飛翔することを願う晴れがましい儀式というとらえ方になっています(もちろん、死それ自体については、家族や周囲の人は嘆き悲しみますが)。
遺体は火葬が基本ですが、ただ焼くのではなく、バリ・ヒンズーの儀礼に従い、火の見やぐらのような背の高い塔や、動物の形をした大きな人形(遺体と一緒に焼く)などが用意されます。それらを用意するのに時間がかかるため、遺体はいったん土葬され、準備ができたら正式な葬式となります。
葬儀には、僧侶以外に、お供え物や遺体を移動したり焼いたりするのにたくさんの村人が集まります。そして大がかりなためとてもお金がかかります。身分が高くお金持ちの人のガベンは必然的に大きな儀式となり、その噂がエリア一帯に広がるほどです。
ガベンは外国人が見学することも可能です。ガベンが行われるときには、クレメーション・ツアー(葬式ツアー)が、現地の旅行代理店で企画され、参加する外国人は、自動車の往復送迎付きで見学に出掛けることができます。但し、あくまでも神聖な儀式なので、バリ・ヒンドゥー教に敬意を表し、サルーンをはおり素肌を露出しない、等が求められます。
さすがにこのツアーは、前もって予約するというのが困難なツアーです。現地に行ったとき、お葬式が行われることがわかって時間に余裕があれば、見学してみるのはめずらしい体験となるでしょう。
写真は2004年7月ウブドで行われた、王族のお葬式のための準備の様子。近くに居たウブドの青年が、高さ25mある御輿の最上部にご遺体を載せ火葬場まで移動するんだと、とても誇らしげに説明してくれました。いったい電線や木の枝などの障害物はどうするのだろう…??
<みんなのズバ!感>
「ガベン(Ngaben)と呼ばれる火葬式を見学しました」byらいださん(2003年03月)
ずいぶん前のことですが、タンパクシリンで行われたガベン=クレメーションを見学してきました。
日本のお葬式は人が亡くなったら直ぐに行われますが、バリではガベンを行うのに十分な資金があれば直ぐに、そうでなければ村ごとに資金を集め、集まってから共同でガベンを行います。私が見学したのは、この共同ガベンです。前回のガベンから6年もかけて資金を集めて準備をしてきただけあって、それはとても盛大な、そして日本人にはちょっと不思議なことですがとても陽気な儀式でした。
初めに村の集会場のような場所に案内されました。そこにはたくさんのお供え物や飾り物が準備され、中に入ると村の女性たちが総出で更に多くのお供え物を準備中でした…全部手作りで準備したのかと思うと、気が遠くなりそうな数です。

やがて午後になり、ランブーと呼ばれる、火葬の際に遺体を入れる人形が準備されました。このランブー、いろんな動物の形をしています…白い牛、虎、獅子…などなど。友人の説明によれば、カースト(カスタ)の階級が上の場合は雄牛の形、それ以外はいろんな動物の形のランブーを使うそうです。さて、遺体はメル(お寺にある塔)を模した御輿に入れられ火葬を行う場所に運ばれます。御輿は村の男たちが担ぐのですが、川を越えたり途中ぐるぐる回ったり…、なかなか大変です。どうもこれは、亡くなった人の魂が元の家に戻れなくするためらしいです。まぁ、『迷わず成仏してください』ってことでしょうか(笑)

火葬の場所に辿り着くと、またまた3回ほど反時計回りに回り、遺体を御輿からランブーに移し、いろんな飾り物などと一緒に火葬します。火葬されて残った遺灰は白い布に包まれて川に運ばれ流されましたが、海の近くなら直接海に帰すそうです。
全てが終わったのは夕方で、ガベン初参加の私にはとても長い一日でした。火葬した際の煙が夕闇の中を白く漂っているのがとても印象的だったのですが、御輿の写真を撮ったあたりでカメラのフィルムが切れてしまって、その後の写真は撮れませんでした〜。残念!
→オススメ度:まあおすすめする、費用:無料
<きんたとマーニのひとこと>
バリ島はしじゅうどこかで様々なセレモニー(儀式)が行われます。ホテルに泊まっていると、地元に住んでるスタッフから「明日、どこそこでセレモニーがあるよ」と教えてくれます。以前日本にいるきんたとマーニの元に、地元のホテルのオーナーから「今度、大きなクレメーションがあるからおいで」というお誘いメールが来たことがあります。日本人の感覚からすると、喜んでいいんだか悩む?!。
(by マーニ)。(2005/12/26 updated)
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